ダイヤモンド買取を考えている人は、自分が持っているダイヤモンドの種類を知ることが大切です。その理由としては、ダイヤモンドの種類によって買取価格が異なってくるからです。カラーダイヤモンドは、色によって買取相場が大きく異なります。その中でも、比較的産出量が多く、価格もそれほど高くないということから人気となっているのがイエローダイヤモンドです。イエローダイヤモンドが放つ黄色い輝きは、明るく元気なイメージを与えてくれます。そういったことから、ネックレスやピアスといったアクセサリーとして身につけることで、実りある人生を贈ることができると言われていました。

そんなイエローダイヤモンドの中には、「世界で最も有名なイエローダイヤモンド」があります。みなさんは、『バローダの月』という名前を聞いたことがありますか?

世界で最も有名なイエローダイヤモンド『バローダの月』

バローダの月とは、世界で最も有名なイエローダイヤモンドのことです。インド北西部にバローダという地域があります。そこで算出された、とあるイエローダイヤモンド。その宝石が放つ黄色い輝きは、まさにお月様のように美しいものだそうです。月の光のごとく美しい輝きからバローダの月と呼ばれるようになったのです。この世にも珍しいカラーダイヤモンドは、当時その土地を支配していた『マハラジャのガエクワド家』が所有者となりました。そして長い間ずっと秘蔵されてきたのでした。

その後、時は18世紀へと移り変わります。この頃になるとイエローダイヤモンドの新しい所有者として、神聖ローマ帝国の女帝『マリア・テレジア』の名が登場します。彼女の父であるカール6世の時代から、ガエクワド家と交易があったようで、その時に譲り受けたものではないかと言われています。

マリア・テレジアは、宝石をこよなく愛する人として知られており、残された肖像画の中には宝石を大切そうに抱える彼女の姿が描かれています。数ある財宝の中でも、特にバローダの月は大切にしていたようで、ハプスブルク家の家宝として、ずっと大切に受け継がえていったのでした。

『バローダの月』は再びガエクワド家の元へ

1860年代に入ると、ハプスブルク家で大切に引き継がれていたバローダの月は、再びインドへと渡ります。かつてバローダの月を所有していたマハラジャのガエクワド家『ムルハルラオ・ガエクワド』が、莫大な財力を利用して家宝を買い戻したのです。彼は、非常に熱狂的な宝石コレクターだったそうです。

しかしその後1914年に第一世界大戦が勃発。当時インドは、イギリスの統治下にありました。そのため、インドの参戦も余儀なくされました。その結果、経済的疲弊は、マハラジャのガエクワド家にまで及びました。この頃のバローダの月の所有者は、ムルハルラオ・ガエクワドではなく『サヤジラオ・ガエクワド3世』になっていました。彼は、財政建て直しを図るために、所有していたありとあらゆる宝飾品を手放すことを決意。その中には、バローダの月も含まれており、その後の行方は記録にも残らず行方知れずとなりました。

ところが、それから約40年後の1953年。バローダの月は、予想外の形で再びその姿を見せるのでした。ハリウッドで、マリリン・モンローが出演していた『紳士は金髪がお好き』という映画の中で彼女が身に付けていたのです。なぜマリリン・モンローがバローダの月を身に付けていたのでしょうか。これは、当時デトロイトの宝石商『メイヤー・ローゼンバウム』が所有していて、自社の宣伝目的としてマリリン・モンローに身に付けさせ出演させていたとか。

これをきっかけにバローダの月の知名度は、一気に世界レベルに。その後もいろんな人の元を点々とするバローダの月でしたが、今では何と日本人が所有者となっているそうですよ。