宝石の一種として、『琥珀』と呼ばれる種類がありますよね。キレイな飴色をした固体ですが、みなさんはこの琥珀がどのようにしてできるのかご存知でしょうか?今回は、この琥珀をピックアップしてお話していきたいと思います。特に男性にとっては、ロマンを感じずにはいられない内容になっているかもしれませんよ!
世界最古の琥珀
おそらく世界最古だろうと言われている琥珀は、どれくらい前のものかご存知ですか?何と約3億年前のものだとか。ちなみにイギリスのノーサンバーランドやシベリアで発見されました。
実は琥珀というのは、その数千万年から数億年前に地上で繁茂していた樹木の樹脂からできているのです。樹脂がどやなどに埋もれたまま長い歳月を経ることで徐々に化石化していったのです。つまり『樹木の化石』それが琥珀というわけですね。ちなみに久慈琥珀は、約8,500万年前のものだと言われています。起源樹種は、南洋杉と呼ばれるもので、商業価値としても用いられています。
宝石としては、真珠や珊瑚、べっ甲なども挙げられますが、こういった動物に属するもの以外はほとんどが鉱物ですよね。ですから琥珀のように植物に属するものというのは、とても珍しい存在なのです。また琥珀が生成される過程の中で、古代の葉や花、樹の皮、昆虫などが自然に入り込んだ石もあります。そういったものは、学術的にも高い価値があり、希少性の高いものとして扱われています。
琥珀は何からできている?
琥珀は、樹木の樹脂からできています。樹脂というと松ヤニをイメージする人もいるかもしれませんね。ですが琥珀の元になっているとされる樹木は、針葉樹から広葉樹までさまざまとなっています。もちろん時代によって、元になっている樹木の種類は異なります。現生している樹種もありますが、種類によってはすでに絶滅してしまっている樹種もあるのです。そして琥珀の産地によって異なる特徴が見られるということもわかっています。
琥珀の元である樹脂は、傷口などからにじみ出てきます。樹脂は、傷口を包み込むことで細菌の侵入を防ぎ、傷口を守る作用があるのです。分かりやすく言えば、私たち人間が怪我をした時にできるかさぶたと同じようなイメージですね。
虫入り琥珀
みなさんが知る琥珀は、すでに化石化して固くなったものです。しかし元は、流動的な樹脂。ですから、周辺で活動していた昆虫や動物、植物、もっといえばその時代の水や空気を包み込んだ琥珀が発見されることもあるのです。そういったものの中で昆虫が入り込んだ琥珀のことを『虫入り琥珀』と呼びます。
琥珀の内部は、立体的で完全体として保存されているケースがほとんどです。一般的によく見られている平面的な化石とは異なり、何とDNA情報などもそのまま保存されているのです。つまりその虫入り琥珀を調べれば、何億年も前の地球の様子や当時を生きた生物の生態、太古生物の生活環境などを知るヒントが隠されているのです。そういったことから、虫入り琥珀は、学術的価値も非常に高い化石なのです。
ロマンの詰まった虫入り琥珀
みなさんは、2015年に公開されたジュラシック・ワールドという映画をご存知ですか?この映画は、1993年に公開されたジュラシック・パークの続編となっています。ジュラシック・パークは、現代技術により蘇らせた古代の恐竜がいるテーマパークです。劇中で恐竜を復活させるためのヒントとして取り上げられたのが虫入り琥珀でした。これを機に虫入り琥珀は、一躍話題になりました。私も当時子供でしたが、この映画をキッカケに琥珀や恐竜に興味を抱き、図鑑を買ってもらったのを覚えています。
実は虫入り琥珀は、映画の中だけではなく現実の世界でも注目されている宝石です。実は、琥珀の中の昆虫化石からDNAが検出されたのです。最古のDNAとしては、何と約1億2千万年前のもの。さらにアメリカの研究では、琥珀の中の昆虫化石の体内に眠っていた胞子状態のバクテリア生物をよみがえらせることに成功したとか。
今後さらに技術が進歩すれば、生物進化についてDNAレベルで解明することができるようになるかもしれません。もしかしたら、今となっては絶滅してしまった生物も復活させることができるかもしれないのです。
虫入り琥珀は、まさにロマンが詰まった宝石と言えます。現代だけでなく未来にまで続いていくようなさまざまな可能性が詰まっているのです。映画の世界でしかなかったジュラシック・パークも、もしかしたら現実になる日が来るかもしれないと思うと何だかワクワクしてきますね。