今では時と共に色褪せてしまった学生時代の思い出。華やかで楽しげなバンドに憧れて、親に頼んでギターを買ってもらったあの日々の思い出。
皆さんは経験がありますか? 私はあります。初めは父親のお古でアコースティックギターを弾いていました。弦は指が痛くなるほど固く、若い頃のふにゃふにゃな指では、Fコードを抑えられるようになるまで、どれほどの時間が掛かったことでしょう。何度か指を切ってしまったこともありました。
それでもギターを弾けるようになった時はとても喜んだ記憶があります。調子に乗って母に見せびらかしていましたね。そんなギターとの出会いの記憶です。

私とギターとの輝かしき出会い

父から借りたアコースティックギターが初めて出会ったギターと言えば、初めてのギターなのですが、私が初めて購入したギターはエレキギターでした。
よく楽器屋さんに置いてある2万円程度の初心者向けギターセット。待ちきれず帰ってすぐに、ギターを弾いてみると弦が柔らかく、今までより格段に弾きやすかったことを今でも覚えています。
どうやら当時、父がアコースティックギターに巻いていた弦は少し硬めのものだったようです。当時の私は自分で弦の交換なんて怖くて出来ませんでしたし、父も私が長く続けるのか分からなかったので、わざわざ私の為に柔らかい弦を買うことをしなかったみたいです。
嘘みたいに軽く、ギターが弾きやすくなって、その日は夢中になってギターを弾いていましたね。あまりに遅くまでやるものだから、隣の部屋の兄に怒られてしまったことを覚えています。

初心者向けのエレキギター

初心者向けエレキギターの相場はアンプからチューナー、スタンド、ケーブルなど諸々ついて2万円から3万円といったところですね。10万円近くするものもありますが、本気でやるかまだわからない、初心者の時期にこの値段のものを買うのは少し博打かなと思います。
私はある程度慣れた時期に4万円程度のエレキギターを買いました。そして大学に入ってバイトを始めて、ようやく15万円のエレキギターに手を出しましたね。
ちなみにこれでも安いほうですよ? 高いものは20~40万はしますし、本当に高いものなら60万円と平然といってしまいますからね。

学生時代の終わりとともにエレキギターとの別れを

そんなエレキギターとも別れの時がやってきました。学生時代は終わりを告げ、社会人としての生活が始まってしまう。私は田舎生まれで、出版系の仕事がしたかったので、上京生活を始めました。
東京は田舎民の目が飛び出るほど土地が高く、他の地方ならもっと良い部屋に住める値段で、狭くて微妙な家を借りられます。あまりお金を掛けたくなかった私は、もちろん安い家を借りました。思い入れもありましたし、エレキギターも持って行ったのですが、忙しすぎてギターを弾いている暇も気力もありませんでした。
そんなある日、久々に時間が出来たので、ギターをじゃかじゃか鳴らしていたのですが、突然インターホンが部屋に鳴り響きました。
そうです、お隣さんです。要件は楽器の音がうるさいから静かにしろとのことでした。もちろん配慮して、アンプなんて繋げていませんし、消音機もつけていました。
それでも安いアパートの壁の前には無力だったのです。
それから私は泣く泣く、ギターを手放しました。実家に送るという選択肢もありましたが、少しお金が欲しかったこともあり、私は決断しました。
あれから後悔があるかと言われれば無いとは言えませんでしたが、それなりに返ってきましたし、十二分に楽しませて貰いましたから、それほど後悔はありませんでした。

別れた後のギターの行方へは?

正直、15万円もするギターを買ったものの、ほとんど披露する機会もなければ趣味でちょこちょこ弾いていただけだったので、かなり状態は綺麗でした。
これなら買い取り後も中古として売れそうなので、私との思い出の詰まったギターが誰かの手に渡ることを、そして願わくは、その誰かが楽しいバンドライフを送れるよう心よりお祈りしております。